受講生を眠らせない!面白い授業をするためには

受講生を眠らせない!面白い授業をするためには

受講生(生徒)が授業中に寝てしまうのは、講師の責任が99%、受講生の責任は1%です。

 
講師側からすると「やる気がないな・・・」なんてつい思ってしまいます。しかし、受講生側からすると「この人の授業全然面白くない。聞くだけムダ・・・」なんて思われています。

 
受講生が寝てしまうのは、授業がつまらないから。

この1点につきます。

受講生を眠らせたくなければ、授業を面白くすればいいだけです。

面白い授業とは

「面白い」と聞くと、なんとなく「お笑い」をイメージする方もいるかもしれません。たしかに「お笑い」と「授業」を融合できれば、最高に面白い授業になると思います。

しかし、テレビに出てくるような芸人さんは超一流の話し手。一般人が真似をするのは得策ではありません。(真似するとたいていスベリます・・・)

 
相手に「面白い!」と思わせる方法は「お笑い」だけではありません。

例えば、「なるほど!」と相手に思わせること。新しい知識を身につけたときにも「面白い」と感じてくれます。

 
「お笑い」にしろ、「なるほど!」と思わせるにしろ、相手に「面白い!」と思わせるには次の3つが必要です。

  1. 終始、想像させること
  2. 疑問を抱かせること
  3. 疑問に対して答えを明快に出すこと

終始、想像させる

面白い授業を提供するうえで、一番重要なのが「終始、想像させること」です。

想像できなければ、面白いと感じることはありません。

 
例えば、若い人に「介護の話」や「年金の話」をしても、いまいち想像できません。年配の人に「ユーチューバーの話」や「SNSの話」をしても、いまいち想像できません。もし、テレビでこのような番組が流れていたら、すぐにチャンネルを変えてしまいます。

他にも、例えば「アインシュタインの相対性理論」。物理学者はメチャメチャ面白いと感じるかもしれませんが、その他の人は1分で夢の世界へと誘われてしまいます。
 

「つまらない授業」では、このようなことが平然と行われています。受講者が想像できないのにも関わらず、授業がどんどん進んでいく・・・。これでは生徒がすぐに寝てしまいます。

受講生の想像力を高めるテクニック

講師は受講生の想像力を意図的に(かなり強く意識しながら)高める必要があります。

それらのテクニックを紹介します。

少し誇張して説明する

少し誇張して説明すると、相手も想像しやすくなります。

例えば、「前の方から大きな人が歩いてきた」と話すよりも、「前の方からプロレスラーみたいにメチャメチャ、ガタイのいい人がズシズシと自分に向かって近づいてきた」と話した方が、聞き手は想像しやすくなります。

日常生活でよく目にするものや体験することに例えると、相手がパッとイメージできるようになります。

ただし、嘘や他人を傷つけるような誇張はNGです。そのうち誰も話を聞いてくれなくなります。

全身を使って説明する

言葉だけで伝えるよりも、全身を使った方が相手に伝わりやすくなります。

例えば、先述の「大きな人」を表現する際には、両手を広げて「こ~んなに大きくて」といった方が伝わりやすくなります。また、ゆっくり歩く動作を加えるとより伝わります。

イラストや映像を使って説明する

イラストや映像を使えば、一瞬で相手に伝えることができます。絵心がある方はどんどん使うことをおススメします。(筆者は絵心がありませんので、この記事は文章だけになっています。申し訳ありません・・・)

小学6年生が理解できる言葉で説明する

難しい内容を扱うときは、つい難しい言葉(専門用語など)を使ってしまいます。相手がその分野の専門家であれば、問題なく伝わりますが、一般の人が相手であれば、一般の言葉を使わないと伝わりません。

難しい言葉ばかりを使う人は、1周回って滑稽に見えてしまいます。

小学6年生に伝わるような表現を使うことをおススメします。ほとんどの人が理解できます。

漫才よりも若干遅いスピードで話す

話すスピードは速い方が良いか、遅い方が良いか。

両者にメリットがありますが、授業を面白くするのであれば速くすることをおススメします。

一言、二言の短い言葉であれば、遅い方が断然伝わりやすいのですが、授業のように数十分に及ぶような場合は、遅いスピードだと聞き手側は眠くなってしまいます。

 
イメージは漫才のスピードです。漫才のスピードはメチャメチャ速いのですが、ちゃんと聞き取ることができます。話の面白い人はたいていスピードが速い。

ただ、速すぎても聞き手は疲れてしまいますし、そもそも、漫才のスピードで話すには、それ相応のスキルが必要になります。

そこで、おススメなのは、漫才よりも若干遅いスピードで話すこと。普段の話すスピードが速ければそのまま、遅いのであれば若干上げるイメージです。

重要なところはゆっくり、時折沈黙を

ひたすら一辺倒に話し続けても相手は疲れてしまいます。重要なところはゆっくり話す、沈黙する、など緩急をつけることも重要です。

話すスピードを変えると、相手の意識をぐっと惹き寄せることができます。ここはゆっくり、ここでは沈黙する、などを事前に決めておくも重要です。

おなかから声を出して、ハキハキと話す

受講生が多い場合、一番後ろの席の生徒にも声を届ける必要があります。もごもごと小さい声で話していたら、受講生は声を聞き取ることに集中力を削がれ、内容に集中できなくなってしまいます。

おなかから声を出して、ハキハキと話すことが重要です。ただ、これは一朝一夕で身につくスキルではありません。日頃から意識し続ける必要があります。

板書量はできる限り減らす

板書とは、黒板やホワイトボードに文章などを書くことです。学校の授業は基本的に、板書スタイルで進んでいきます。

しかし、この板書はデメリットばかりです。先生が生徒に背を向けて板書している間は、生徒はヒマになります。生徒が板書を写している間は、先生がヒマになります。つまり、時間のムダ。話の流れも途切れてしまいます。

板書を写すメリットは、授業後に見直せることくらい。板書したからといって、理解度が上がるわけではありません。板書を写している間は、板書を見る→写す、だけの思考停止状態。授業中には何のメリットもありません。これらは講師と受講生の自己満足でしかありません。

板書量が多くなりがちな授業(例えば、数学など)は、後で見直せるプリントを配布するなどの工夫をして、できる限り板書量を減らすことが重要です。

非単語を減らす

非単語とは「あの~」「え~と」「その~」などの言葉です。

これらの言葉は、口癖でつい言ってしまいますが、聞き手には何のメリットもありません。話がわかりにくくなるだけです。口癖の人は、意識してなくす必要があります。

対比構造を利用する

対比構造を利用すると、相手に想像させやすくなります。

テレビドラマやアニメには、必ずといっていいほどライバルや敵が現れます。ライバルや敵を出現させることによって、主人公を目立たせるためです。

授業でも、対比となるもの(反対語や類語など)といっしょに紹介すると、相手もイメージしやすくなります。

新しい話の前には、必要に応じて補足説明を

よくやってしまう失敗が、「こんなこと知ってるでしょ」「前回やったから覚えているでしょ」と勝手に思い込んで、話を進めてしまうパターンです。

このような状態で始まった話は、最初がわからないために、その後もわからない状態が続いてしまいます。

少し難しい言葉(専門用語など)が出てくるのであれば簡単に補足説明をしてあげる、前回やった内容であれば簡単に復習をしてあげる、こういった工夫をちょっとするだけで受講生の理解度は格段に上がります。

とにもかくにも想像させることが重要

相手に「面白い!」と思わせたければ、相手に「想像させること」が一番重要です。

想像できないことを面白いと思うことはありません。

聞き手が想像できる話であれば、それだけで注意を惹くことができます。

相手が想像できるか、どうすれば想像できるようになるか。このことを意識するだけで、授業が劇的に面白くなります。

相手に疑問を抱かせる

さらに授業を面白くするためには、「相手に疑問を抱かせること」も大切です。選択肢が2つ以上あると、相手の興味を強く惹くことができます。

例えば、スポーツの勝ち負け。サッカーのワールドカップなどは、多くの日本人が強い興味を持ちます。「勝つか?」「負けるか?」がわからないからです。もし、絶対に勝つ、とわかりきっていたら、全然面白くありません。逆に、絶対に負ける、とわかりきっていても同じです。

テレビドラマなども「この先どうなるの?」といった疑問が湧くから面白く感じます。

 
授業も同じです。「この先どうなるんだろう?」と疑問を抱かせることができれば、相手を一気に惹き込むことができます。

疑問を持たせるためには、クイズ形式にする、勢いよく話していたのに急に話を止める、ゆっくり話す、などの方法が効果的です。

ただ、この方法を使う場合にも、「相手に想像させること」が重要です。例えば、小学生に高校生向けのクイズを出しても、難しすぎて思考停止状態になってしまいます。相手が想像できる内容でなければ、相手は疑問を抱くことができません。

疑問に対して答えを明快に出す

そして、最後に「疑問に対して答えを明快に出すこと」ができれば、さらに面白いと感じさせることができます。

できれば、想像以上の答えを

相手が想像している以上の答えを提示すると、相手はより面白いと感じてくれます。

想像以上なので、想像通りでも大丈夫です。ただ、想像より(期待より)低い答えは相手を落胆させてしまいます。

 
例えば、先述のスポーツの勝ち負け。勝つ可能性が70%、負ける可能性が30%くらいの勝負であれば、勝つをことを想像します。予想通りに勝てばそこそこ面白いと感じますが、負ければかなり落胆してしまいます。

逆に、勝つ可能性が30%、負ける可能性が70%くらいの勝負であれば、負けることを想像してしまいます。勝てば劇的に面白いと感じますし、負けてもそこまで落胆せずに「よく頑張ったな」と捉えることができます。

奇想天外な答えは注意が必要

奇想天外な答えは注意が必要です。「お笑い」などは、この奇想天外な答えをよく使います。

絶対に起こらなさそうなことが起こる、この人は絶対にやらないであろうことをやる、こういったことは、笑いを誘う可能性がある一方、ドスベリする可能性があります。

このような奇想天外系な答えは、話す相手と自分の実力がマッチしたときにしか使うことができません。使う場合は要注意です。

面白い授業をしたければ、徹底的な準備が必要

  • 終始、想像させること
  • 疑問を抱かせること
  • 疑問に対して答えを明快に出すこと

この3つを実践できれば、聞き手は面白いと感じてくれるようになります。

ただ、準備はメチャクチャ大変です。

授業時間の約20倍の時間の準備が必要

もし、授業時間が1時間だとしたら、準備時間は20時間程度は必要です。(授業時間の20倍程度の時間が必要)

  • 授業構成に1時間
  • 詳細を詰めるのに3時間
  • 授業で使うもの(プリントなど)の準備に2時間
  • 練習(1回目)1時間
  • 修正(1回目)1時間
  • 練習・修正を計7回繰り返す

こんな感じでしょうか。

受講生からお金と時間を奪っているという意識を

講師側からすると受講生に対して「教えてやってる」といった傲慢な意識を持ってしまいがちです。しかし、これが通用するのは相手にそれだけの価値を与えられたときのみ。それ以外の場合は、お金泥棒、時間泥棒です。

講師として、お金と時間をもらう以上、それに見合ったものを提供しなくてはなりません。現時点で受講生から「つまらない」と思われているようであれば、実力不足。つまり、準備不足です。

熱意が重要

準備は物凄くたいへんです。この思いを伝えたい、受講生の笑顔が見たい、といった強い熱意がなければ、とても準備などできません。

プロスポーツ選手を思い浮かべてください。試合で活躍する時間なんて、10分程度。ですが、毎日毎日ストイックな練習(準備)をしています。

畑は違いますが、講師でお金をもらうということはプロ。スポーツ選手となんら変わりません。

講師という職業を選んだからには、もともとは強い熱意があったはず。時間が経ったり、現実を目の当たりにすると、熱意が薄れてしまうのかもしれません。

ですが、今一度、初めの頃の熱意を思い出してください。熱意があるだけでも受講生の心を惹き寄せることができる場合もあります。

授業アンケートを必ずとるべし

授業アンケートは必ずとるようにしてください。授業アンケートとは、授業の理解度や満足度を受講生から聞き出すためのものです。いわゆる、講師の通信簿。

授業が良いかどうかは、受講生が決めるもの。講師側が自分の授業をどんなに素晴らしいと感じていても、受講生がつまらないと感じていれば、その授業はつまらないということ。

受講生の評価を確認しなければ、良い授業を提供できるはずがありません。授業アンケートをとらないのは、職務怠慢です。

たいていの場合、自分の思っている評価よりも低い評価が返ってくると思います。精神的ダメージを受けるかもしせません。

もし、授業アンケートの精神的ダメージが耐えられない、授業アンケートの結果を改善する気がない、といった理由で授業アンケートをとらないのであれば、講師を辞めて、転職することをおススメします。

講師は受講生を満足させてナンボ。お金と時間をもらっています。それに、学校の先生などの恵まれた環境でない限り、いつかは需要が途絶え、苦しい生活を強いられることになります。

余談ですが、筆者個人的には、学校の先生にも授業アンケートを実施して、評判の悪い先生は授業改善をするなどの対応をとってほしいと思います。筆者の関わった生徒達からは、学校の先生の怠慢状況をよく聞きます。部活など、他の業務で忙しいのは理解できますが、メインは授業のはず。そこをないがしろにはしてほしくありません。その先生の授業を受ける生徒が可哀想です。

他の先生に授業をチェックしてもらうべし

他の先生に授業をチェックしてもらうことも重要です。

生徒が直接言いにくいこと、生徒では気付けないこと、などの指摘をしてもらえます。

ただし、「こうした方がいいよ」というアドバイスをもらったときは、受け入れるかどうかは慎重に判断する必要があります。

教え方には「コレ!」といった正解がありません。アドバイスしてもらった方法が逆効果になる場合もあります。

まずは、生徒に披露する前に、練習で試してみる。しっくりくれば採用、しっくりこなければ、不採用です。ただし、不採用の場合は、アドバイスをもらった人に、採用しない理由を伝える必要があります。理由もなく取り入れなければ、2度とアドバイスしてもらえなくなります。

他の先生の授業を学ぶべし

他の先生の授業を学ぶことも重要です。

先生が2人いれば、全く同じ授業にはなりません。他の先生の授業を見ることで、「あっ、これはいいな!」とか「これはわかりにくいな・・・」、そんなことに気づことができます。

良い面はそのまま取り入れればいいし、悪い面は、「自分はこうならないようにしよう!」と参考にすることができます。

参考にすべき講師の映像は、ユーチューブにいくらでもあります。

受講生を眠らせたくなければ、面白い授業を

受講生が寝てしまうのは、授業がつまらないから。

受講生を眠らせたくなければ、面白い授業を提供してください。

ただし、準備はメチャクチャたいへんです。

ですが、授業後の生徒の顔は明るくなっているはずです。

準備をせずに、受講生の暗い顔を見るか、準備をして、受講生の明るい顔を見るか、
それは自分で選ぶことができます。